抄録
本論文は, 最近トンネル覆工コンクリートの剥落対策として普及している, 炭素, アラミド, ガラス等の繊維シートを覆工内面に樹脂により接着する工法 (以下「繊維シート接着工」) に着目し, その設計法と選定法を提案するものである. まず, 過去の剥落事例を調査したうえで, 剥落事例ごとの要因の分類とその特徴を考察し, 剥落対策工としての効果を把握するために押抜き実験を行った. また, 押抜き実験の結果を繊維シートとコンクリートの剥離破壊エネルギーに基づいた解析解やコンクリートの引張軟化特性を用いた解析解と対比することにより, 繊維シート接着工による剥落対策設計法を提案した. さらに, 以上の結果に基づき剥落形態を4段階に区分し繊維シート接着工の選定法の大まかな考え方を整理した.