抄録
近年, トンネル弾性波探査にトモグラフィ的解析法 (トモグラフィ法) が用いられるようになった. トモグラフィ法を適用する場合, トンネル計画面全体にわたり波線が通過することが望ましい. 既に実施された96本のトンネル (153測線) の弾性波探査結果についてトモグラフィ的解析法による再解析を行い, 弾性波探査の実施状況について検討を行った. 筆者らの解析の範囲では, 検討したトンネルの43%で波線が完全には通過しない結果となり, 主要な原因としては, (1)土被りが厚い, (2)主測線を分割している, (3)起振点配置や受振距離の設定がトモグラフィ的解析に適切でないなどが挙げられた. ここでは, 再解析結果に基づき, トモグラフィ的解析を適用する際の弾性波探査実施上の留意点と対応について報告する.