2004 年 2004 巻 759 号 p. 271-282
外乱が作用する構造物の振動数を高精度に推定するためには, 高精度振動数推定法の確立と振動数を自動計測・表示する計測器の実現が必要である. 本研究は, 常時微動から構造物の振動数を高精度に自動推定する算法を提案し, その有効性について検証するものである. 本法は, 常時微動からARモデルを構成し, その複素固有値を構造物成分と外乱成分に分離することで構造物固有の振動数を抽出する. さらに高精度に振動数抽出を行うために, 変動消去法と物理的特性法の2手法を提案し, 両法による推定精度をシミュレーションから検証した. また, ARモデル次数が振動数推定精度に及ぼす影響を確認するために, アーチ橋の常時微動シミュレーションを実施し, 本法の適用性について検証した.