抄録
山岳トンネル掘削に伴う山体内の地下水位の挙動の変化は, 掘削時の安全性だけでなく, 地元住民の生活や周辺の自然環境など多岐に亘って影響を及ぼす. これらの影響評価の上で基本的な指標となる地下水位変動の影響圏とトンネル内湧水流量を予測するためには, いくつかの簡易的な方法が提案されている. しかし, これらの簡易的な手法は何らかの仮定に基づいて提案されたものである. そこで, 本研究では従来から提案されている方法とその前提条件について明らかにするとともにとともに, これらの方法では取扱っていなかった降雨と透水係数を入力条件とした影響圏の簡易推定法を提案する. また, これらの結果をもとに, 浸透流解析においてモデル化すべき領域の設定方法について論述する.