抄録
厚い軟弱粘土地盤上に構築された実在の橋台およびその背面盛土を対象に,変形対策工とその効果を解析的に検証し,施工中から供用時の維持管理を含めた費用の観点から最適な対策工の検討を行った.同橋台は,厚さ60mにもおよぶ軟弱粘土地盤上に構築され,施工中から幾多の対策を施しながらも背面盛土の継続的な沈下が発生し,供用開始後13年経過した時点で,抜本的対策としてEPS(Expanded Poly-Styrol: 発泡スチロール)置換による盛土荷重軽減を余儀なくされた.同橋台に対して,1) EPS置換による荷重軽減時期が対策効果に及ぼす影響,および2) 近年,適用事例が増加している気泡混合軽量土(FCB)による荷重軽減工法を適用した場合の対策効果を解析的なパラメトリックスタディを通して検討し,実資料を基にした総対策費用と照らし合わせて効果的な対策工のあり方を検討した.