抄録
本研究は,硬質な亀裂性岩盤を対象とした止水グラウトについて検討したものである.まず,硬質な岩盤におけるグラウト注入実績として北欧のトンネルグラウトについて調査した結果,1) 高濃度のセメントグラウト配合,2) 高密度の注入孔配置,3) 複数孔の同時注入,を主な特徴とするプレグラウト工法により高い止水性と施工の合理化を同時に達成していることが判明した.しかし,高濃度配合は注入孔内の岩盤亀裂入り口においてグラウト材料が目詰まりし,不十分な注入となることが懸念される.そこで,高濃度配合の妥当性を検証するために目詰まり試験を実施した結果,注入圧力を段階的に上昇させることである程度目詰まりを抑制し,水粉体比1.6という高濃度配合のグラウトを十分に注入出来ることが判明した.