抄録
兵庫県南部地震における液状化地盤の流動事例分析,重力場の流動模型実験,および遠心載荷場の流動模型実験から,護岸移動による液状化地盤の流動量と,護岸からの離間距離による地盤変位の減衰特性を明らかにした.既往の流動事例分析から,流動量が液状化地盤の層厚の5~10倍の距離の領域で急激に変化し,その後の領域ではほぼ一定の流動量に漸近して流動変位が護岸より200~300m以上の広範囲に及んでいることが示されている.本研究では流動変位が護岸より遠方に及ぶ原因が地表面の傾斜によることを,遠心載荷場の模型実験より明らかにし,実地盤における地表面傾斜の測定を含めた流動事例の再分析により検証した.模型実験と事例分析結果を総合化して護岸背後の液状化地盤の水平変位量の減衰特性を定量的に示した.