抄録
帯鋼補強土壁工法において，補強材との摩擦抵抗が小さく，盛土材として不適とされる粘性土やシルトを固化処理して利用することが望まれている．しかし，固化処理に特有の粘着力の増加効果を反映した設計方法はまだ確立されていない．本論文では，その設計のための基礎的データを得ることを目的にして，土槽からの補強材の引抜き試験装置を作製し，土試料・上載圧・固化材添加量・養生時間・補強材長・補強材種類などの諸条件を変えた実験を行った．そして補強材の引抜き抵抗に及ぼす固化処理の効果を上記要因別に調べた．また，固化処理土の一軸圧縮強さと固化処理土中の補強材の最大引抜き抵抗の関係を検討し，それを基にした所要補強材長の設計式の一例を示した．
