抄録
一般廃棄物処分場跡地を公共の空間資源として考え,社会的経済的に高度利用を図ることは,処分場設置に協力された地元への還元になるなど,廃棄物のリサイクルを考える上で有意義である.しかし,環境面や長期に継続する沈下等の力学的不安定性の面から,現段階では公園等の軽微な土地利用に留まっている.また,廃棄物処分場に関する既往の研究は,遮水技術や環境影響評価に関するものが殆どで,力学的問題を焦点にした研究例が少ない.このような背景の下,本研究では廃棄物処分場から実際の廃棄物を採取し,各種室内実験に供することにより,圧縮性,せん断特性,地震時変形特性などの力学的特性の解明を試みた.廃棄物の挙動が,有効応力の影響を初めとして土質力学における土の挙動と類似していることは,極めて興味深い点である.