2010 年 66 巻 4 号 p. 729-741
岩盤グラウチングでは,注入材による改良効果を的確に評価することが重要である.その方法として筆者らは,アコースティック・エミッション測定および孔間P波振幅測定によるグラウチングの改良効果評価手法を提案する.この手法は,まずグラウチング中に岩盤内で発生するAEを測定し,改良を必要とする範囲に注入材が到達していることを確認する.さらにグラウチング実施前後に孔間弾性波測定を行い,透過弾性波の初動振幅値の変化を指標にして,亀裂が注入材によって十分充填されていることを確認する.以上の二つの手法を組み合わせてグラウチングによる改良効果を評価する.本研究では,室内試験および原位置試験を実施し,本手法がグラウチングの改良効果評価手法として有効であることを確認した.