土木学会論文集C
Online ISSN : 1880-604X
ISSN-L : 1880-604X
和文論文
割れ目系と植生分布に着目した敦煌莫高窟周辺の水分移動経路の推定
小泉 圭吾朴 春澤谷本 親伯上野 陽平岩田 修一李 最雄王 旭東郭 青林
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2010 年 66 巻 4 号 p. 836-844

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抄録

 乾燥地域の洞窟壁画を塩害から守るためには,水分の分布状況を明らかにする必要がある.本研究では,リモートセンシングにより,敦煌莫高窟へ辿りつく水分の移動経路を推定することを目的とした.複数の衛星データと現地踏査により,周辺の割れ目および植生分布を把握した.この結果,割れ目は広域から狭域で同様の走向を示しており,莫高窟に分布する割れ目の走向が広域の断層に支配されていることが明らかとなった.また,植生が河川沿いのみならず,砂丘や基盤岩上にも分布していることが確認された.そのうち,三危山に分布する植生は直線状に分布し,それらの走向が断層と一致していることが確認された.このことから,三危山と同様の地質構造をもち,莫高窟崖面と接する鳴沙山においても,割れ目に沿って水分が移動している可能性が考えられる.

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© 2010 社団法人 土木学会
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