2012 年 68 巻 1 号 p. 71-83
2007年に成立した地理空間情報活用推進基本法を契機に,地理空間情報を活用したサービスは日々進展を遂げている.その一方で,国土あるいは公共施設等のベースとなる情報は,データ提供主体ごとに,形式だけでなく,入手条件や権利関係,更新頻度等が多様であり,利用者側からみるとデータ収集は手間のかかる作業である.従って,本研究は,公共事業等で作成された地理空間情報の収集・配信・利活用等に関わる円滑な流通環境の実現を目的とする「地理空間情報流通実験コンソーシアム」の活動を通じ,データ利用者のニーズ,データ保有者の制約等を把握し,関係者の役割分担を提案する.また,実証実験として,広範なデータ収集活動,データ共有を効率的に実現するシステムの構築と運用,利用者・保有者の意見集約を行い,流通の仕組みの妥当性を評価した.