抄録
本論文では,航空写真と航空機レーザ(light detection and ranging: LiDAR)データから建物境界線を自動推定する手法を提案する.提案手法では,航空写真に領域分割を行い初期の領域分割結果を得る.次に,航空機LiDARデータの3次元座標点群に対しフィルタリング処理を実施し,地盤面と非地盤面データに分離する.そして非地盤面データの各点に対し,近傍の点を含めて平面の法線を計算する.この法線を領域ごとに集計した領域の法線データを活用して,対となる領域のペアを生成し,領域を建物単位で捉え直す.最後に各々の建物単位で2次元の境界線を生成する.京都市東山区の密集市街地に提案手法を適用した結果,細い路地に囲まれた街区に建物が隣接し、陰影が多数発生する密集市街地であっても,提案手法は良好な境界線データを生成できることが判明した.