2006 年 62 巻 4 号 p. 649-661
本研究は,礫衝突により生じた部材損傷が鋼製透過型砂防えん堤の安全性に及ぼす影響を評価する際に,既往の被災経験を今後の破壊確率評価に活用し,部材損傷が構造全体の安全性に及ぼす影響を評価する方法について検討したものである.提案法は,実存する損傷データから土石流流速および礫径を逆推定し,土石流荷重の素因子頻度分布を求め,続いて,これを用いて再度礫衝突した場合の部材損傷度およびその部材損傷が構造物の安全性に及ぼす影響をモンテカルロシミュレーションにより予測するものである.本研究では,実損傷事例について提案法を適用し,その実用性について検討した.