抄録
本研究では,経年的に蓄積された舗装の路面性状データや補修履歴データを用いて,舗装の劣化過程を統計的に予測する舗装劣化予測モデルを提案する.具体的には,道路舗装の劣化状態を離散的な複数のレーティングで記述し,一定期間内における舗装状態のマルコフ推移確率を多段階指数ハザードモデルを用いて表現する.その際,劣化が進行した舗装に対して補修が実施されるため観測データが欠損するという問題が発生する.本研究では,選択肢サンプリング法を用いてサンプル欠損バイアスを考慮した最尤推定法を提案し,多段階指数ハザードモデルの推計に適用する.さらに,マルコフ推移確率を,高速道路のわだち掘れ量のデータベースに基づいて推定し,サンプル欠損バイアスの影響について実証的に検討する.