2010 年 66 巻 4 号 p. 536-555
本研究では,道路陥没や腐食劣化による下水管路の破損危険位置などを予測し,広域下水管網の予防保全のための計画策定に対して合理的な意思決定が一貫して行える,維持管理支援システムの構築を試みた. 筆者らが開発したシステムは,下水道台帳をはじめとする様々な管理データや下水道分野で入手可能な現場情報,過去の道路陥没履歴や調査点検記録といった蓄積情報などをデータベース化し,そして下水管内の環境情報を計測または推定することによって道路陥没が予想される箇所や微生物腐食による劣化箇所を定量的に予測して,診断箇所や診断方法の選定といった意思決定を合理的に支援することを可能にした. 本稿は,この一連の支援システムを構築したプロセスと新たに考案した様々なメタ戦略理論を概説する.