抄録
道路トンネルは閉鎖空間であり,火災時には熱気流・煙の拡散により人的被害が大きくなる恐れがある.このため長大トンネルでは縦流風を制御して煙の拡散を抑制する低風速化制御が採用されている.近年,縦断勾配の大きいトンネルの建設が増えていることから,縦断勾配が低風速化制御に及ぼす影響について火災シミュレーションと避難シミュレーションを連成させることで要救助者数を算出し評価を行った.その結果,熱気流が縦断勾配によって影響を受け,火災時の避難環境を悪化させることを確認した.また縦断勾配の値に従って風速を制御することにより,要救助者数を最小と出来る事を検証した.