日本臨床免疫学会会誌
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総説
TNFα依存性関節炎モデル(GPI誘導性関節炎)におけるTNFα-induced adipose-related protein (TIARP)
井上 明日香松本 功岩波 慶一田中 陽子住田 孝之
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2009 年 32 巻 1 号 p. 15-19

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抄録
  関節リウマチ(RA)の関節炎病変局所では,リンパ球などの白血球浸潤,滑膜細胞の異常増殖,血管新生,骨・軟骨の破壊など多彩な病理組織学的な変化とともに,様々なサイトカインが検出されており,特にTNFαがRAの病態において重要な因子として注目されている.近年このTNFαをターゲットとした治療が行われ,RA患者において劇的な治療効果が認められているが,TNFαがRAの疾患の病因にどのように関与しているかについては未だ十分に解明されていない.glucose-6-phosphate isomerase (GPI)はK/BxN関節炎モデルのターゲットとして同定されたユビキタスな解糖系酵素であるが,合成GPI蛋白をDBA/1マウスに免疫することにより,わずか一週間で関節炎が惹起できる.このモデルでは関節炎発症後に抗TNFα抗体を投与することにより病態を抑制することができ,RAと発症機序が近いモデルと考えられている.そこで本稿ではGPI誘導性関節炎モデルの病態形成におけるTNFαや,モデルから得られたTumor necrosis factor-α induced adipose related protein (TIARP)の役割に焦点をあて概説する.
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© 2009 日本臨床免疫学会
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