日本臨床免疫学会会誌
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総説
Fetal microchimerismと自己免疫疾患
佐村 修
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2010 年 33 巻 6 号 p. 293-303

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抄録
  マイクロキメリズムとは,遺伝的に異なる個体から別の個体に双方向に細胞が移行し,その細胞が移行した体内に存在しつづけることと定義される.Fetal microchimerism(FMc)とは遺伝的にまったく異なる胎児細胞が,母体に移行して生着し存続し続けることであるが,正常妊娠でも起こることが,広く認識されるようになってきている.いくつかの自己免疫疾患は女性に多く発症し,さらに出産後に発症することが多いことから,以前の出産時に生着したと考えられるFMcとの関連が示唆されている.強皮症,SLE,自己免疫性甲状腺疾患や原発性胆汁性肝硬変などのような様々な自己免疫疾患でこのFMcとの関連が研究されている.このようなFMcの役割としては母体組織の損傷の際に,様々な細胞に分化することでその修復を助けている可能性が報告されている.それゆえこれら母児間のマイクロキメリズムをさらに理解することは,一般女性の健康問題と同様に,これらの疾患をより深く理解することにつながる.
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© 2010 日本臨床免疫学会
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