日本臨床免疫学会会誌
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総説
リウマチ性疾患におけるポドサイトの研究
梶山 浩
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2011 年 34 巻 1 号 p. 40-48

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抄録
  ポドサイト(腎糸球体臓側上皮細胞)は,一次突起,足突起(二次突起),足突起間のスリット膜からなる高次構造を保ち,血中からの高分子蛋白漏出を防ぐ分子篩として機能する.ポドサイト高次構造異常は,病的蛋白尿の原因となり,糸球体係蹄壁からの脱落や細胞死によるポドサイト数の低下は,不可逆的腎機能低下の原因となる.自己免疫性疾患に併発する腎症には,ループス腎炎,顕微鏡的多発血管炎に伴う毛細血管炎(半月体形成性腎炎,腎間質毛細血管炎),シェーグレン症候群の間質性腎炎,IgG4関連間質性腎炎,AA腎アミロイドーシス,強皮症腎等があり,各々,不可逆的な腎機能低下を来すが,ポドサイト障害の関与については不明な点が多い.
  近年,培養ポドサイト細胞株,ポドサイト特異的遺伝子発現制御トランスジェニックマウス,ポドサイト関連バイオマーカー,新糸球体分離法,laser capture microdissection法,multiphoton imaging, extracellular flux analyzerの登場により,ポドサイト障害機序の解析手法が飛躍的に進歩した.これらの手法により,今後,原発性腎炎におけるポドサイト障害は固より,リウマチ性疾患に於けるポドサイト障害も明らかになり,腎糸球体障害分子機序,ポドサイト障害分子機序の新知見が期待される.
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© 2011 日本臨床免疫学会
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