日本臨床免疫学会会誌
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総説
グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症の病態と治療
金子 開知川合 眞一
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2011 年 34 巻 3 号 p. 138-148

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抄録

  グルココルチコイド(ステロイド)誘発性骨粗鬆症(GIOP)の発症機序は,ステロイドの骨組織の局所に対する作用と,カルシウム代謝の変化による二次性副甲状腺機能亢進症や下垂体ホルモン分泌抑制を介した性ホルモン分泌の抑制などのステロイドが全身に作用を介した機序が考えられている.近年,骨組織への直接作用が特に骨形成への影響が注目されている.骨代謝マーカーにおいては,ステロイド投与早期より骨形成マーカーは低下する.一方で,骨吸収マーカーは増加傾向を示す.GIOPの治療に対して,各国でガイドラインが作成されているが,ビスホスホネート製剤はGIOPにおける骨折抑制効果が多くの臨床研究から明らかにされており治療の第一選択となっている.また,ヒト組み換え副甲状腺ホルモン剤であるテリパラチドは,GIOPにおける骨折のリスクが高い患者において使用を考慮すべき薬剤である.さらに,抗receptor activator for nuclear factor κB ligand抗体製剤であるデノスマブは閉経後骨粗鬆症においての有用性が報告されておりGIOPでの効果が今後期待される.

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© 2011 日本臨床免疫学会
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