日本臨床免疫学会会誌
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総説
日本における高IgD症候群の診断と展望
酒井 秀政平家 俊男
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2011 年 34 巻 5 号 p. 382-387

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抄録

  高IgD症候群は,乳児期早期に炎症反応高値の不明熱疾患として発症する自己炎症性疾患である.その原因はコレステロール代謝に関わるメバロン酸キナーゼの欠乏であることから,体内の多くの細胞がその欠乏を共有することになり,その臨床像は他の自己炎症性疾患と比して多様である.しかしながら,腹部症状や皮疹,関節炎などといった多くの症状は他の自己炎症性疾患群と共通のものであることから,臨床の場で即座に診断するのは難しく,乳児期発症の不明熱を診た際に積極的に疑う他ないのが現状である.さらに,病名にある血清IgD値の高値は,診断を考慮するタイミングではほとんど認められておらず,本症候群の診断をさらに混乱させている要因となっている.近年,わが国においても高IgD症候群の確定診断例が明らかになっており,決してヨーロッパに偏在している疾患ではないことが分かってきた.また,高IgD症候群に対する特異的治療法の開発も進みつつあり,臨床的に高IgD症候群を疑った患者に対し,確定診断するための方法や,正確に否定するためのプロセスを熟知しておくことが必要である.

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© 2011 日本臨床免疫学会
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