抄録
【目的】Behçet病は遺伝的要因としてHLA-B51との関連を認め,その腸病変は炎症性腸疾患との鑑別を要す.HLA-B27は慢性の長期経過をとる強直性脊椎炎をはじめとする血清学的陰性脊椎関節症との関連が認められており,炎症性腸疾患腸外病変もこれに含まれる.我々は男性のHLA-B27(+)B51(−)の腸管Behçetを10年来経過観察し得たので報告する.【症例】30歳頃から再発性口腔内アフタ性潰瘍を繰り替えし,30歳代に消化管潰瘍を認める.39歳から関節炎を伴う高熱を繰り返すも検査異常を認めず.40歳から陰茎部潰瘍を繰り返す.48歳に下部消化管内視鏡にて大腸ポリープを認め摘出する.49歳時に高熱を伴う下血を認め近医より炎症性腸疾患に伴う肛門膿瘍を疑われ前医を受診.緊急入院しドレナージが施行され,抗生剤およびPSL20 mg/日が開始されるも炎症反応高値で,緊急下部消化管内視鏡にてS状結腸に多発潰瘍を認めた.組織学的にはクローン病は否定,潰瘍性大腸炎との鑑別を要した.ステロイドパルスで一時的に解熱するも再燃を繰り替えし,大腸全摘出術後に症状安定化.現在60歳,口腔内アフタ性潰瘍,痤創および結節性紅斑を軽度繰り返すも腸病変は安定している.【結語】腸管Behçet,炎症性腸疾患そして血清反応陰性脊椎関節症の鑑別を有したHLA-B27(+)B51(−)の腸管Behçet患者1例を長期経過観察した.