日本臨床免疫学会会誌
Online ISSN : 1349-7413
Print ISSN : 0911-4300
ISSN-L : 0911-4300
症例報告
関節リウマチと鑑別診断が困難であった胃癌によるcalcinomatous polyarthritisの1例
栗原 夕子奥 佳代鈴木 厚大曽根 康夫岡野 裕
著者情報
ジャーナル フリー

2012 年 35 巻 5 号 p. 439-445

詳細
抄録

  症例は79歳男性.2009年12月に両膝関節の疼痛・腫脹で発症し,その後,朝のこわばり,両手関節,手指の関節,両肘関節の疼痛,腫脹,両肩関節痛,頚部痛,腰痛,運動制限が出現し歩行困難となり,2010年1月当科受診した.対称性多関節炎,CRP高値を認めたが,リウマトイド因子と抗CCP抗体は陰性であった.非ステロイド抗炎症薬の投与を行ったが関節痛の改善は得られなかった.食欲不振と貧血の精査のため上部消化管内視鏡検査を施行したところ,幽門部に胃癌を認めた.胃癌切除後速やかに多関節炎は軽快しCRP値も低下した.Carcinomatous polyarthritisは,関節リウマチと類似した多関節炎を呈し,しばしば潜在性悪性腫瘍に先行して発症し,悪性腫瘍の治療により軽快する「腫瘍随伴症候群」の一つであり,まれではあるが見逃さないことが重要な疾患であると考え,報告する.

著者関連情報
© 2012 日本臨床免疫学会
前の記事
feedback
Top