日本臨床免疫学会会誌
Online ISSN : 1349-7413
Print ISSN : 0911-4300
ISSN-L : 0911-4300
総説
IL-10産生制御性T細胞の治療応用にむけて
岩崎 由希子藤尾 圭志岡村 僚久柳井 敦山本 一彦
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 36 巻 1 号 p. 40-46

詳細
抄録

  IL-10は炎症・自己免疫応答を抑制するサイトカインとして知られており,近年報告が相次いでいる誘導性制御性T細胞(Treg)の抑制能の一端を担うサイトカインとしても重要である.Type1 regulatory T (Tr1)細胞は,IL-10産生を特徴とするIL-10産生制御性T細胞の中でも代表的なものである.Tr1を特徴づける細胞表面マーカーや分化誘導機構については未解明の部分も多いが,近年IL-27がT細胞にIL-10産生を誘導し,Tr1を誘導し得るサイトカインとして注目されてきている.また,既に我々が報告しているCD4+CD25lymphocyte activation gene (LAG-3)+ Treg(以下LAG3+ Treg)は末梢で誘導されるTregであり,やはりIL-10がその制御活性に重要である.LAG3+ Tregにおいて,T細胞にanergyを誘導する働きをもつ転写因子Egr-2の発現亢進が確認され,Egr-2のCD4+ T細胞への強制発現によりLAG-3発現およびIL-10産生が付与されることを我々は見出しており.Egr-2がLAG3+ Tregの抑制能付与において重要な働きをする可能性が示唆されている.本稿では,Tr1およびIL-27誘導性IL-10産生に関する知見について概説し,LAG3+ Tregについて紹介すると共に,自己免疫疾患の新規治療応用への可能性について考察する.

著者関連情報
© 2013 日本臨床免疫学会
前の記事 次の記事
feedback
Top