2014 年 37 巻 4 号 p. 363a
IL-12ファミリーサイトカインは様々なリウマチ性疾患の病態に関与している.この中で最も新しく同定されたIL-35は,制御性T細胞から産生され,IL-12p35とEBI3の2つのサブユニットから構成されている.正常皮膚培養線維芽細胞をEBI3刺激するとI型コラーゲン蛋白の発現が減少した.I型コラーゲンmRNAの安定性は,miR-4500の誘導を介したEBI3の発現低下によって失われた.強皮症患者の血清IL-35濃度に変化はなかったが,皮膚組織中ではEBI3の発現が健常人と比較して統計学的に有意に減少していた.EBI3の受容体であるgp130の発現は健常人においても強皮症患者においても差はなく,それぞれの皮膚より作成した線維芽細胞においても発現は同等であった.強皮症マウスモデルであるブレオマイシン誘発性皮膚線維化マウスを作成し,EBI3の皮下投与を行ったところ,線維化および皮膚硬化への治療効果が認められた.EBI3の投与は新たな治療の候補となる可能性が示唆された.