日本臨床免疫学会会誌
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Rising Star Symposium
Rising Star Symposium3 IFNsのT-betを介したT細胞代謝リプログラミングと自己免疫疾患への関与
岩田 慈菅野 由香阪田 圭中山田 真吾O'Shea John J.田中 良哉
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2016 年 39 巻 4 号 p. 311

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抄録

  IFNは生体防御や免疫調整機構において重要な役割を担うと同時に,SLEなど自己免疫病態にも関与する.我々は,1型IFN(IFN-α, β)及び2型IFN (IFN-γ)がCD4+T細胞のRNA発現に与える影響を網羅的に解析した.2種のIFNはT-betを介してそれぞれの遺伝子特性を発揮しており,特に細胞内代謝関連遺伝子で顕著な相違を示した.つまり,IFN-α, βは解糖系を抑制,IFN-γは促進させた.T-betは,IFN-γシグナルを増幅し,一方IFN-α, IFN-βの自己産生を抑制することで解糖系亢進を促し,迅速なCD4+T細胞の増殖を齎した.次に,SLE患者末梢血CD4+T細胞におけるT-betの役割を検討した.SLEでは,CD4+CD28-CXCR3intT-bethi細胞が増加しており,活性化effector memory細胞であった.T-betを高発現した同細胞では,IFN-γを強力に産生し,解糖系を促進させるmTORC1のリン酸化が亢進していた.同細胞は過去の免疫抑制剤使用数,即ち治療抵抗性と相関した.CD4+CD28-CXCR3intT-bethi細胞は,IFN-γ-mTORC1-T-bet経路による解糖系亢進により活性化し,SLEの治療抵抗性に深く関与している可能性がある.同細胞を標的とした細胞内代謝変容制御は,SLEの新たな治療戦略として期待される.

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© 2016 日本臨床免疫学会
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