2016 年 39 巻 5 号 p. 441-447
多数の外来因子が存在する腸管組織では,Th1/Th17細胞は侵入してきた病原体に対し生体防御に機能する一方,腸内細菌や食事抗原に対する過剰なTh1/Th17応答は炎症性腸疾患の発症につながる.そのため,腸管組織におけるエフェクター応答は厳密に制御されている.近年,マウスおよびヒト腸管組織において多様な自然免疫細胞サブセットが同定されるとともに,各サブセットが異なる分子機構によりT細胞の活性を制御することで腸管免疫系の恒常性が維持されること,その活性異常が炎症性腸疾患の発症・病態に深く関与することが明となりつつある.著者らは,ヒト腸管マクロファージの一種と考えられていたCD14+ミエロイド細胞が,Th17細胞誘導性樹状細胞や抗炎症性ミエロイド細胞を含む不均一な細胞集団であること,クローン病や潰瘍性大腸炎患者において各細胞の機能不全が示されることを見出した.今後,ヒト腸管自然免疫細胞の分化および恒常性維持に機能するシグナルの解明が,炎症性腸疾患の病態解明のみならず新規治療法確立につながることが期待される.