日本臨床免疫学会会誌
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抗n-RNP抗体高値を示すCNSループス様症例の検討-自験例および文献的考察について-
加藤 芳郎今村 明上島 紳介小林 秀夫水谷 泰子三原 英嗣毛受 弘親加藤 良一小栗 隆
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1991 年 14 巻 3 号 p. 287-293

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抄録
症例は19歳女性.精神錯乱,行動異常が数日で急速に進行し,某精神科病院へ入院.けいれん発作,白血球減少をきたし当科転院した.顔面および手掌の紅斑,手,足関節の関節炎を認め,血清検査でn-RNP抗体128倍陽性.抗DNA抗体とSm抗体は陰性であった.メチルプレドニゾロン1日1g 3日間投与のパルス療法を, 3コース施行し,さらにプレドニゾロン40mgの後療法を継続した.その結果,精神症状は消失し,日常生活に支障ないまでに改善したため退院し,経過観察中である.本症例では1982年ARAのSLE分類基準を満たすが1), MCTDとの鑑別が問題となった.本症例と同様に,精神症状を主症状とするCNSループス様疾患と診断された報告では,抗核抗体のうち,抗n-RNP抗体のみが高値陽性の症例が散見され,精神症状を主とするSLEまたはMCTDでは,血清学的にも特異な様式を示すとも考えられ,診断にあたって注意が必要と思われた.
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