日本臨床免疫学会会誌
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Leukocytoclastic vasculitisを合併し,低用量メトトレキサート療法が有効と考えられた慢性関節リウマチの1例
菊池 正俊高橋 知香子中園 清村澤 章小澤 哲夫佐藤 健比呂中野 正明荒川 正昭
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1991 年 14 巻 3 号 p. 307-312

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抄録
Leukocytoclastic vasculitis (LV)を合併し,低用量methotrexate (MTX)療法が有効と考えられた慢性関節リウマチ(RA)の1例を経験したので報告する.症例は52歳の女性で,昭和57年より多関節痛が出現し,近医でRAと診断された.その後,金療法, d-penicillamine (D-PC), Lobenzaritなどの治療を受けたが症状増悪するため, 62年6月,当院に紹介され入院した.両側手指はムチランス様変形があり,後頭部に皮下結節を認めた.検査所見では, CRP強陽性, RAHA高値を認め,血沈は1時間値168mmと著しく亢進していた. D-PCとprednisoloneの併用療法で経過を観察していたが, 10月25日頃より両下腿に掻痒,灼熱感を伴う皮疹が出現し,補体蛋白の減少が認められた.皮膚生検の結果, LVと診断された.低用量MTX療法開始後,関節痛は徐々に改善し,皮疹も1ヵ月ほどで消退した.
同療法は, LVなどの関節外症状においても有効性が示唆され,注意深い管理のもとでは,今後さらに試みてもよい治療法と考えられた.
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