抄録
大動脈炎症候群(AoS)に肺高血圧(PH)を合併するのはまれであり,また混合性結合組織病(MCTD)に合併するPHに比べて軽症のことが多い.今回PHと抗カルジオライピン抗体(aCL)との関係をAoSとMCTDについて比較検討した.さらにわれわれが経験したPHを合併したAoS 2例を提示した.
aCLは, PH合併AoS 2例でいずれも陰性であり, PH合併MCTD 3例ではすべて陽性であった.症例1はAoSと診断14年後にPHを合併し,その後6年経過し生存中である.症例2はAoSと診断6年後にPHを発症しその6年後に死亡した. PH発症後の生存期間は, AoSでは5年以上, MCTDでは平均0.8年であった.
AoSとMCTDでは, PHは異なる機序で発症し,その予後の違いに関係すると考えられた.