日本臨床免疫学会会誌
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消化管組織にimmune depositsを認めた抗核抗体陽性の蛋白漏出性胃腸症の1例
高橋 裕樹森田 俊樹塚田 彰子鈴木 朝子林 敏昭池田 典康遠藤 圭介杉山 敏郎日野田 裕治今井 浩三谷内 昭佐藤 昌明
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1994 年 17 巻 3 号 p. 205-212

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抄録
われわれは,消化管組織に免疫複合体の沈着を認めた蛋白漏出性胃腸症の1例を経験した.症例は27歳,女性で1992年2月から顔・四肢のむくみ感を自覚.血液検査上,著明な低アルブミン血症および抗核抗体陽性,低補体血症を認め精査目的に同年4月当科入院.肝賢機能正常,尿蛋白陰性であったが, α1アンチトリプシン試験陽性および99mTc標識アルブミンによる腹部シンチグラフィにより消化管への蛋白漏出が確認され,蛋白漏出性胃腸症と診断した.軽度の口渇感以外,膠原病を疑わせる自覚症状はみられず,また消化管生検組織でも軽度の細胞浸潤などの非特異的炎症像のみであったが,蛍光抗体法にてIgG・IgM・C 3の沈着が認められた.またプレドニゾロン投与により低蛋白血症・低補体血症の改善がみられたごとから,蛋白漏出の原因として自己免疫学的な機序の関与が示唆された.
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