日本臨床免疫学会会誌
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大腸mucus releaseに関する研究
II. 粘膜障害時の検索
坂 洋一古川 裕夫大熊 稔
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1995 年 18 巻 5 号 p. 529-537

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抄録

大腸粘膜における局所の免疫反応時のmucus release (粘液放出)について検討した.先に著者らは,経直腸的にBSA (bovine serum albumin)による免疫を繰り返した後,免疫対応または非対応抗原で経直腸的challengeを行った場合,ラットの正常大腸の免疫反応に際して,大腸goblet cellmucus (杯細胞粘液)の放出の増加はみられず,正常粘膜では小腸と大腸の局所的抗原抗体反応に差異があることを報告した.今回は,免疫前に経直腸的にホルマリン注入による粘膜障害を行い,腸管粘膜の破綻を来した場合の大腸の局所免疫反応に際して,粘液放出現象の動態について検討を行った.その結果,大腸の粘膜障害時には,大腸局所で抗原抗体反応に依存してmucus releaseの増加がみられ, mucosal barrierを破る機序さえ働けば,局所免疫反応によるmucus releaseが増加することが判明した.

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