日本臨床免疫学会会誌
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抗dsDNA抗体によるDNA切断の促進
窪田 哲朗渡邊 直美
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1996 年 19 巻 6 号 p. 605-608

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抄録
これまでの研究で,モノクローナル抗2本鎖(ds) DNA抗体が,そのDNAとの結合部位において,ヒドロキシラジカルによるDNA障害を著しく促進することを明らかにした.今回はこのような現象が,特定のモノクローナル抗体のみに認められるのか,一般的に実際の患者やモデルマウス血清中の抗体でも認められるのかを明らかにすることを目的とした.
その結果,全身性エリテマトーデス(SLE)患者およびMRL/lprマウス血清より精製した抗dsDNA抗体は,やはりDNAのラジカルによる切断を著しく促進し,その効果はラジカル阻害剤によって抑制された.一方,1本鎖DNAに対する抗体の場合には,そのような効果は認められず,むしろDNAのラジカル障害を保護する効果を示した.以上の結果は,感染症や紫外線暴露後にSLEの活動性の増悪をみるような病態のメカニズムの解明に有用と考えられる.
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