日本臨床免疫学会会誌
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中心性漿液性網脈絡膜症を呈した強皮症合併蛋白漏出性胃腸症の1例
田賀 理子高橋 裕樹安井 寛築田 浩幸武川 睦寛本谷 聡菅谷 壽晃曽根 昭子鈴木 純一池田 建今井 浩三
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2001 年 24 巻 3 号 p. 125-132

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抄録
症例は44歳,女性. 1999年5月より両下肢の浮腫を自覚し,同年9月当科入院となった.著明な低アルブミン血症(1.9g/dl)を認め,消化管からの蛋白漏出と蛍光抗体法により大腸粘膜への免疫複合体の沈着を認めた.また抗セントロメア抗体陽性,強指症と皮膚の組織学的な硬化所見を認め,強皮症に合併した蛋白漏出性胃腸症と診断した. 10月よりステロイドの経口投与を開始し, 11月ステロイドパルス療法施行直後から視力低下を認め,中心性漿液性網脈絡膜症(CSC)と診断された.ステロイド誘発性CSCも疑われたが,低蛋白血症が続くためステロイド投与を継続したところ,発症後30日目にCSCは消失した. CSCの病因は脈絡膜血管病変による二次的な網膜色素上皮の障害と考えられている.本例では消化管で観察された免疫複合体の組織への沈着が脈絡膜血管においても生じ,血管透過性の亢進を介してCSCを惹起した可能性が示唆された.
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