日本臨床免疫学会会誌
Online ISSN : 1349-7413
Print ISSN : 0911-4300
ISSN-L : 0911-4300
心不全を呈し,心筋シンチで心筋障害を証明しえた強皮症の1例
小杉 依子桜井 徹志
著者情報
ジャーナル フリー

2003 年 26 巻 3 号 p. 121-126

詳細
抄録
症例は38歳の女性. 15年前にレイノー症状を初発とし強皮症と診断され,冬期には指尖潰瘍を繰り返していた.平成13年6月,労作時息切れの増悪を認め,当科入院となった.入院時の胸部X線ではCTR 65%と心陰影拡大,両側胸水を認めた.心エコー検査では左室の壁運動のび漫性の低下および左室駆出率の低下を認めた. T1心筋シンチにて左室全体に斑状の低集積が検出された.強皮症に伴う微小循環障害による心筋線維化が原因で心不全を呈したものと考え,利尿剤・強心剤とともにβ-blockerの漸増投与を行い,心機能の改善を認めた.心筋シンチは強皮症の心病変の検出に有用であり,検査陽性例では発症後はもとより発症前に薬物療法を開始することも重要と考えられた.
著者関連情報
© 日本臨床免疫学会
前の記事
feedback
Top