日本臨床免疫学会会誌
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ヒト抗体産生機構の試験管内解析-末梢Tリンパ球によるB細胞株の抗体産生細胞への分化成熟-
矢崎 信原口 惣一松尾 哲道杉本 公行本郷 輝明赤座 達也吉田 孝人
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1981 年 4 巻 1 号 p. 13-20

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抄録
健康成人の末梢血より樹立したヒツジ赤血球に対する抗体を産生していないB細胞株を試験管内で抗体産生細胞へ分化成熟できるか検討した.
方法: EB virusの自然感染した成人よりB細胞株を樹立し,そのB細胞株をEロゼット法によって分離したT細胞とともにPWMの存在下で7日間培養し, 7日目にCunningham法によりヒツジ赤血球に対するIgM抗体産生細胞を検出した.
結果: (1)樹立したB細胞株は表面免疫グロブリンを2%しか保有しない段階のB細胞でPWMを加えても抗体を産生しない. (2)樹立したB細胞株に同一人の末梢Tリンパ球を加えてPWMの存在下で7日間培養すると, B細胞株は分化成熟してヒツジ赤血球に対するIgM溶血抗体を産生するようになり, 191±130個/cultureのPFCが検出された.この抗体産生系は,ヒトの抗体産生機構を解析するためのよいモデルになると考えられる.
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