日本臨床免疫学会会誌
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SLE抗リンパ球抗体のin vitro免疫グロブリン合成に及ぼす影響
奥平 邦雄谷本 潔昭堀内 淑彦
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1981 年 4 巻 6 号 p. 329-337

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抄録
SLE血清のCon Aにより誘導したsuppressor T-cell機能に及ぼす影響をin vitroの免疫グロブリン合成系を用いて調べた. Tγに特異的なIgGの抗リンパ球抗体(antilymphocyte antibody, ALA)は,著明にCon A誘導suppressor T-cell機能を抑制したが,一方, IgM Tγ specific ALAならびにTγ (-) specific ALAのどの免疫グロブリンクラスもIgG Tγ specific ALAに比して, Con A誘導suppressor T-cell機能を抑制する活性は弱かった.
抗リンパ球抗体以外のSLEの血清中に存在する因子で, suppressor機能に影響を与えうる因子についても検討を加えた.変性ヒトIgGをimmune complexの代用として使用すると, Con A誘導suppressor T-cell機能はdose dependentに抑制されたが,その程度はIgG Tγ specific ALAに比べるとはるかに弱かった.副腎皮質ホルモンも強力にCon A誘導suppressor T-cell活性を抑えたが, Sephadex G 200カラムによるゲル濾過では,阻止活性はIgG (7S)分画にみられ,また,抗ヒトIgGのaffinity columnによりIgGを血清中より除去すると阻止活性が失われた.これらの結果から,活動期のSLEの血清中に含まれるCon A誘導suppressor T-cell阻止活性は主としてIgG型のTγにspecificな抗リンパ球抗体のためであると考えられた.
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