抄録
RA患者の末梢血および関節液単核細胞のin vitroにおけるIg産生能を測定し,その臨床的意義について検討した.
RA患者の血清中のIgG・IgAは正常人より高値であったが, IgMはやや低い傾向を示した.関節液のIg量は各クラスともに血清中の約60%の濃度であった.しかし,関節液Ig量は血清中よりも低いにもかかわらず,関節液のRFは血清中のものより高い抗体価を示した.
in vitroにおいて単核細胞のIg産生能を調べた結果, RA患者の末梢血単核細胞のIgM産生量は正常人より低く,これはRA患者の血清中のIgMの低値と一致するものであった.一方,関節液単核細胞の産生量はIgAでは末梢血に比較し著しく低く,逆にlgMは高値を示した.また,関節液単核細胞のIgM産生量は血清中のRF抗体価や血沈値などと有意の相関を示した.以上の結果より,関節液中の単核細胞はRFの産生やRAの疾患活動性に関与していることが示唆された.