日本臨床免疫学会会誌
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慢性関節リウマチ患者の末梢血と関節液単核細胞の免疫グロブリン産生に関する研究
小川 博遊桜美 武彦井村 裕夫
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1982 年 5 巻 2 号 p. 110-115

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抄録
RA患者の末梢血および関節液単核細胞のin vitroにおけるIg産生能を測定し,その臨床的意義について検討した.
RA患者の血清中のIgG・IgAは正常人より高値であったが, IgMはやや低い傾向を示した.関節液のIg量は各クラスともに血清中の約60%の濃度であった.しかし,関節液Ig量は血清中よりも低いにもかかわらず,関節液のRFは血清中のものより高い抗体価を示した.
in vitroにおいて単核細胞のIg産生能を調べた結果, RA患者の末梢血単核細胞のIgM産生量は正常人より低く,これはRA患者の血清中のIgMの低値と一致するものであった.一方,関節液単核細胞の産生量はIgAでは末梢血に比較し著しく低く,逆にlgMは高値を示した.また,関節液単核細胞のIgM産生量は血清中のRF抗体価や血沈値などと有意の相関を示した.以上の結果より,関節液中の単核細胞はRFの産生やRAの疾患活動性に関与していることが示唆された.
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