日本臨床免疫学会会誌
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ヒトSLEにおける免疫異常の成因
サプレッサーT細胞回路系の異常,インターリュウキン2の活性不全およびB細胞活性化機序の異常
高田 伸介村川 洋子上田 裕司鈴木 登坂根 剛
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1983 年 6 巻 5 号 p. 434-442

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抄録
自己リンパ球混合培養反応(AMLR)は, OKT 4+細胞とOKT 8+細胞間の相互作用に基づくOKT 8+サプレッサー細胞の活性化誘導過程を表すとともに, OKT 4+細胞亜群の間に起こる制御機構を反映している.このAMLRに欠陥のある全身性エリテマトーデス(SLE)患者では,自己非T細胞刺激に伴うOKT 4+ヘルパー細胞によるインターリュウキン2(IL 2)の産生に欠陥があり,かつ,自己非T細胞で刺激したOKT 4+サプレッサー前駆細胞にIL 2レセプターが正常に出現しない.これに対してOKT 8+サプレッサー前駆細胞は自己非T細胞刺激に反応して正常にIL 2レセプターを出現する.したがって,サプレッサー回路のなかで,例えばOKT 8+サプレッサー細胞が担う回路を, IL 2で是正できるように,サプレッサー回路の一部を人為的に再構築することによって, SLEにみられるB細胞の機能過剰を抑制し得ることが示唆された.
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