日本臨床免疫学会会誌
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Bence-Jones型多発性骨髄腫にみられた免疫グロブリン低下の機序
井上 孝利白浜 正文奥村 雄三石橋 大海大久保 英雄
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1986 年 9 巻 2 号 p. 99-104

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抄録
Bence-Jones型多発性骨髄腫の患者にみられた,多クローン性免疫グロブリン(Ig)の濃度低下の機序について検索した.患者の末梢血と骨髄穿刺液から,それぞれ単核細胞を分離培養し,培養液中に分泌されたIgをradioimmunoassayで定量した.本症例の血清Ig濃度はIgG 579, IgA 37, IgM 9 mg/dlであり,いずれも著明に低下していた.末梢血のリンパ球数は正常であり, Giemsa染色した標本中に光顕的には骨髄腫細胞は認めなかった.末梢血単核細胞のIg生合成はわずかに低下しており,その機序はT細胞のsuppressor機能の亢進であった.骨髄細胞のIg生合成は著明に減少し,正常の1/10以下であり,その機序はT細胞のsuppressor機能の亢進とB細胞の機能不全であった.
したがって,この患者にみられたIg濃度の低下は,おもに骨髄における生合成の低下に基づくものと考えられた.
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