主催: 聖マリアンナ医科大学 リウマチ・膠原病・アレルギー内科
ボセンタンの臨床適応が認められ,膠原病性肺高血圧症治療の選択肢が拡大された.エポプレステノール(Epo.)不耐性の肺高血圧症にボセンタン併用が有効であったので報告する.[症例] 52才,女性.平成9年Raynaud症状にて初診.抗核抗体1280倍,抗DNA抗体640倍,抗Sm抗体陽性,リンパ球減少,蛋白尿にてSLEと診断.平成11年肺線維症を,12年には肺高血圧症を併発した.ベラプロスト120microgを投与していたがNYHA Class III, 6分間歩行229m,BNP103pg/mlと効果不十分なため14年よりEpo.導入した.下痢,脱毛,食欲不振のため4.0 ng/kg/minを維持量とし,コントロール良好であった.平成17年3月頃より呼吸困難と下腿浮腫が出現し,BNPも上昇したため利尿剤を追加投与した.当初は反応良好であったが次第に不良となり,Epo.増量を試みた.以後,BNPと臨床症状を指標にEpo.を次第に増量していったが,8.25ng/kg/minで収縮期血圧80-90mmHgと低下したため,18年5月にボセンタン投与開始した.投与翌日から呼吸困難は改善し, 5日間でBNPは711から472 pg/mlへと改善したが血圧低下は認められなかった.Epo.不耐例へのボセンタン追加投与は有用であると考えられた.