日本臨床免疫学会総会抄録集
Online ISSN : 1880-3296
ISSN-L : 1880-3296
第34回日本臨床免疫学会総会抄録集
セッションID: 8-1
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一般演題
リピッドラフト凝集およびTCRシグナル伝達における細胞膜スフィンゴミエリンの役割
*金 哲雄黄 成日董 凌莉童 暁鵬坂井 知之沢木 俊興河南 崇典田中 真生正木 康史福島 俊洋広瀬 優子梅原 久範
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抄録

【目的】RA、SLEなどの自己免疫疾患では、自己反応性T細胞の出現を始め自己抗体の産生など免疫系の異常な賦活化が認められる。一昨年度の本学会で、SLE患者末梢リンパ球におけるリピッドラフトの発現増強について報告した。今回我々は、リピッドラフトの主要構成脂質であるスフィンゴミエリン(SM)のTCR凝集やシグナル伝達における機能について解析した。【方法と結果】1) Jurkat 細胞にSM合成酵素遺伝子(SMS1)-siRNAを遺伝子導入し、SM knock down細胞株(SMkd)を樹立した。2) 抗CD3抗体刺激によるTCR凝集能を共焦点顕微鏡で検討したところ、SMkdでは有意に凝集が抑制されていた。3) 活性化分子であるCD69の発現量はSMkd細胞株で著明に低下した。4) TCRのリピッドラフトへの移行をショ糖密度超遠心法で検討したところ、抗CD3抗体刺激によるTCRのリピドラフトへの移行がSMkd細胞株で著明に低下していた。5) 抗CD3抗体刺激によるZAP-70、LATのチロシンリン酸化、PKC-θのスレオニンリン酸化はSMkd細胞株で有意に低下していた。【結語】TCRの凝集およびT細胞活性化シグナル伝達にリピッドラフトおよび細胞膜スフィンゴミエリンが重要であることを明らかにした。SLE患者で見られた免疫賦活化がリンパ球のリピッドラフトの発現増強によってもたらされている可能性が示唆された。

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© 2006 日本臨床免疫学会
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