日本臨床免疫学会総会抄録集
Online ISSN : 1880-3296
ISSN-L : 1880-3296
第34回日本臨床免疫学会総会抄録集
セッションID: 14-7
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一般演題
全身性エリテマトーデスと自己免疫性肝炎の経過中に甲状腺癌を併発した1例
*武田 誠司兼岡 秀俊斉藤 喬雄
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抄録

【はじめに】膠原病とくに皮膚筋炎に悪性腫瘍が合併することは稀ではない。しかし、我々が調べた限り、全身性エリテマトーデス(SLE)と甲状腺癌の合併例の報告は皆無であった。今回、SLEと自己免疫性肝炎の合併例に甲状腺癌が発症したので報告する。【症例】45歳、女性。2004年10月に強い倦怠感と全身掻痒感が出現したため、近医を受診した。肝機能障害と抗核抗体640倍の検査所見から当院消化器内科に紹介入院となった。ウイルス性肝炎やアルコール性、薬剤性の肝機能障害は否定的で、肝生検所見から自己免疫性肝炎の診断が確定した。さらに、多発関節炎、血球減少症、抗dsDNA抗体高値、抗核抗体高値の4項目によりSLEと診断された。プレドニゾロン35mg/日を開始したところ、肝機能障害、多関節炎、血球減少症は改善したため、以後漸減し、消化器内科と当科の外来に通院し、治療を継続した。2006年1月末に右頚部に硬い腫瘤を自覚した。CTで同部位に腫瘍を認め、細胞診で甲状腺乳頭癌の診断を得た。外科に入院し、甲状腺亜全摘術を施行された。【結語】SLEおよび自己免疫性肝炎と甲状腺癌の合併例は、文献的に皆無であるが、甲状腺が自己免疫疾患の標的となりやすい臓器であるので興味深い。

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© 2006 日本臨床免疫学会
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