主催: 大阪大学保健センター、大学院医学系研究科身体防御健康医学
【目的】昨年の本学会での報告に引き続き、大腸癌におけるFrizzled-7(FZD7)の治療標的分子としての可能性を検討した。 【方法】 HCT116にmock、FZD1、FZD7を導入して1)Wntシグナル経路の標的遺伝子の発現、2)FZD7 siRNA導入によるインターフェロン誘導反応、3)FZD7 siRNA導入による増殖抑制効果を検討した。また4)大腸癌細胞株におけるCD44の発現を検討した。 【結果】1)FZD7はmockに対してmyc、CyclinD1、CD44、VEGF、Id2は2倍、Survivinは1.4倍、junは3.3倍 の増加を認めた。FZD1はmockに対してmycは1.3倍、junは2.8倍 の増加を認めた。2)HCT116にFZD7 siRNAを導入してもOSA1は誘導されておらず、インターフェロン誘導反応は起きていないことが確認された。3)FZD7 siRNAを変異β-catenin を有するHCT116に導入すると、培養6日後ではコントロールに対して80%の増殖抑制効果を認めた。4)FZD7 mRNAを発現する6種類の大腸癌細胞株全てでCD44 mRNAの発現を認めたが、フローサイトメトリーでは6株中5株で発現を認めた。 【結論】FZD7は治療標的分子として有用であることが示唆された。抗CD44モノクローナルを用いたsiRNAのデリバリーについて現在基礎的検討を進めている。