主催: 大阪大学保健センター、大学院医学系研究科身体防御健康医学
【背景】抗血管内皮細胞抗体(AECA)は,SLEなどの膠原病や血管炎を来す疾患で検出され,臓器病変や活動性によって検出率が変化しうることが報告されている。AECAが内皮細胞の表面上の抗原に結合し,サイトカインの分泌や接着因子を発現し,血管炎を引き起こすメカニズムが考えられている。
【目的】特発性間質性肺炎(IIP)症例と膠原病性間質性肺炎(CVD-IP)症例でAECAを測定し,基礎疾患,病理組織所見,既存検査値,および治療反応性との関連を検討する。
【方法】外科的肺生検にて病理診断が確定したIIP 12例(UIP 6, NSIP 6)とCVD-IP 12例(SLE・SSc・PM/DM・RA各3)を対象とした。AECA値は,ヒト臍帯静脈由来血管内皮細胞を用いてcellular ELISA法で測定した。結果はRosenbaumの方法を用いてELISA ratio (ER)として算出し,健常人のmean+3SD以上を陽性とした。
【結果】IIP症例ではAECAは4例(33%),CVD-IPでは6例(50%)が陽性であった。組織型ではIIPにおいて,UIPは全例が陰性だったのに対して,NSIPは6例中4例が陽性だった。CVD-IPでは組織型による陽性率の違いはなかった。またAECAと既存検査値や治療反応性との相関はなかった。
【結論】AECAの検討から,IIPにおいてIPF/UIPとIIP-NSIPは病態が異なり,IIP-NSIPとCVD-IPの類似性が示唆された。