主催: 大阪大学保健センター、大学院医学系研究科身体防御健康医学
目的:小児期のリンパ節腫脹をきたす疾患の病態の解析、鑑別診断のために血清中ケモカインを測定し比較検討した。 対象:発熱、リンパ節腫脹を主訴とした患者で組織球性壊死性リンパ節炎11人、川崎病 5人、EBV感染症5人 化膿性リンパ節炎5人。平均年齢 6歳6か月。 方法:Cytometric Bead Array (BD Biosciences) kitを用いて血清中IP-10、MCP-1、MIG、IL-8濃度を測定した。 結果;組織球性壊死性リンパ節炎では化膿性リンパ節炎に比しIP-10(平均4927.4pg/ml,: 833.4 ,p<0.01))、MCP-1(87.9:7.4, p<0.01)、MIG(1860.1:261.8,p<0.01)が有意に高値で、IP-10は回復期には低下した。川崎病では化膿性リンパ節炎に比較しMIG(3343.3pg/ml, p<0.05)のみが有意に高値だった。EBV感染に伴うリンパ節炎ではIP-10(7390.6 pg/ml, p<0.05)、MIG(12526.9pg/ml,p<0.01)が化膿性リンパ節炎に比し有意に高値で、MIGは組織球性壊死性リンパ節炎よりも高値だった。IL-8は組織球性壊死性リンパ節炎、川崎病で上昇した症例があったが各群で有意差はなかった。 結語:疾患により血清中ケモカインの上昇のパターンに差が見られた。化膿性リンパ節炎と他の疾患の鑑別に有用と考えられた。