日本臨床免疫学会総会抄録集
Online ISSN : 1880-3296
ISSN-L : 1880-3296
第35回日本臨床免疫学会総会抄録集
セッションID: 3
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一般演題
IL-6血中濃度を指標とした重症急性膵炎の治療戦略
*松田 兼一田草川 正弘森口 武史織田 成人平澤 博之
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キーワード: IL-6, cytokine, 重症急性膵炎
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抄録
[はじめに] 重症急性膵炎(SAP)は未だ治療困難な疾患の一つである.近年SAPは膵局所の炎症によって免疫担当細胞から過剰産生された各種cytokineが血中に吸収され,cytokine networkを活性化し,重要臓器障害が引き起こされた状態と考えられている.そこで我々はcytokineの中でも病態・重症度を比較的忠実に反映するIL-6に注目し,IL-6血中濃度を指標としたSAPの治療戦略について検討した.[対象・方法] SAP症例49例を対象に,重症度スコアと治療開始時のIL-6血中濃度の関係を検討した.またcytokine除去目的で持続的血液濾過透析(CHDF)を用いて治療したSAP症例を,発症3日以内にCHDFを施行し得た35例(早期群)と,発症4日以上経過した後にCHDFを施行した14例(非早期群)に分け比較検討した.[結果及び考察]対象症例の治療開始時の重症度スコアとIL-6血中濃度との間に有意な相関関係を認めた.また治療開始時のIL-6血中濃度の対数平均は非早期群1500pg/mLに比し早期群で550と有意に低値であった.CHDF施行後IL-6血中濃度は両群とも速やかに低下したものの,救命率は早期群97_%_に対し非早期群では79_%_と有意に低かった.IL-6血中濃度と重症度スコアの間に有意な相関を認めたことより,IL-6血中濃度はSAPの重症度を把握する良い指標となると考えられた.またIL-6血中濃度を測定する事によって全身の炎症反応の程度を把握し得るばかりか,CHDF等のcytokine対策の適応や効果判定に有用であった.
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© 2007 日本臨床免疫学会
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