主催: 大阪大学保健センター、大学院医学系研究科身体防御健康医学
現在わが国ではTNFをターゲットとした2剤の生物学的製剤が投与可能であり、次なる治療選択肢であるトシリズマブの承認がまたれる。当院が参加した臨床試験からトシリズマブの有効性、安全性について検討する。第三相臨床試験は発症5年未満で1剤以上の抗リウマチ薬 (DMARDs) に抵抗性の関節リウマチ (RA) 患者を対象とした無作為割り付けオープンラベル試験であり、トシリズマブ単独治療群(T群)と既存治療群(C群)の2群 (当院では各群10症例) に割り付けた。T群はトシリズマブ8mg/kgを4週に1回、13回投与、C群はDMARDsを自由に使用する既存治療を実施した。投与前の各平均値は、罹病期間 (年) C群3.2、T群3.2、疼痛関節数 (個) C群15.2、T群15.0、腫脹関節数 (個) C群14.1、T群13.5、CRP (mg/dl) C群7.8、T群7.5と疾患活動性が高い症例であった。52週後の最終観察日には疼痛関節数C群8.6、T群1.3、腫脹関節数C群8.0、T群2.2、CRP C群6.5、T群0.2とT群において著明な改善を認めた。1年後のACR20、50反応率はそれぞれC群が10%、0%、T群が100%、90%と驚くべき有効率であった。またT群は全例1年間継続投与が可能であった。当院における1年後の生物学的製剤継続率はインフリキシマブ58.5% (41例中24例)、エタネルセプト90% (40例中36例)であり患者背景が異なり単純比較は出来ないがトシリズマブの高い有効性、安全性が確認された。