主催: 大阪大学保健センター、大学院医学系研究科身体防御健康医学
症例は37歳、女性。38℃台の発熱と全身性の小丘疹が出現した後四肢の浮腫・頭痛・心窩部痛を自覚した。近医にて咽頭溶連菌迅速試験3+でありセフェム系抗生剤を内服したが発熱が持続し、非ステロイド性抗炎症薬に不応であった。また胸痛も自覚するようになったため当院受診。心電図・上部消化管内視鏡にて異常所見を認めず、蛋白尿を認めたため精査入院となった。入院時起座呼吸の状態であり低酸素血症、リンパ節腫脹、軽度の関節炎をみとめた。また胸部レントゲン、心臓超音波にて中等度の胸水および心嚢水貯留、また尿検査、血液検査にて蛋白尿・血尿・低補体血症も認めたためSLEを強く疑った。また同時に軽度肝障害も認めていた。漿膜炎に対しPrednisolone 30 mg/day内服を開始。胸水・心嚢水は速やかに消失した。その後抗DNA抗体陰性、パルボウイルスIgM陽性、抗ストリプトキナーゼ(ASK) 2560倍であることからパルボウイルス感染・溶連菌感染の混合感染による漿膜炎・腎炎と診断。Prednisolonを減量し、3週間後には中止としたがその後再燃を認めなかった。パルボウイルス感染や溶連菌感染に伴う腎炎は比較的よく知られているが、心膜炎を合併する報告は稀であり、文献的考察を含め報告する。